ルネーさんとこに1匹だけメスの牛がいた。
牛友達がいなくて、
30ぴきほどの
ヤギだちと同居していたので、
友達ほしいだろうなと、
かわいそうにおもっていた。
ある日、仕事も終わり、
スケッチをしに
牛小屋の後ろにあるこの原っぱに、いさんでやってきた。
UAEから、
もってきたスケッチブックは、
ほとんど真っ白なので、
がんばらねば。
よーし、
きょうは、長期戦になるわと意気込み、
たったままでは、つかれるだろうと、
いすのかわりに
そのへんにおちていた、
バケツをもち、
いすがわりに
原っぱに侵入。
柵は、電気が走っているので、
牛小屋のほうから、
でていく。
牛もヤギもいい具合に
位置。
バケツをおき、すわったとたん、
なんと、牛がじわじわと、わたしのほうに歩きはじめる。
あっという間に、
彼女は、もう闘牛の牛のようにわたしに向かった走り始めた。
女とは、いえ、
筋肉はぐあんぐあん揺れて、
すさまじいスピードで走ってくる。
わたしは、バケツをもって、
柵のほうに逃げるか、牛小屋のほうに逃げるか
瞬時の判断が要求された。
柵のほうが、近い。しかし、ワイヤーには電気が走っている。
電気ショックを受けるのはいやだ。
牛小屋のほうしかない。逃げ込もうと、
走り始めたとたん、朝の雨でぬれていた
草で、つるんとすべり、
顔から、着地。
スケッチブックと、鉛筆は宙をとび、まだ長靴のままだった
わたしは、どてどてと走り、間1発のところで、
牛小屋に非難。
牛は、なんと、ほんの2メートルたらずの距離。
心臓ばくばく。
ヤギ小屋のほうに走りこみ、
ドアを足で、閉める。
ぜーぜー。
牛を悪役するには、失礼だけど、
あの角でやられたら、
ひとたまりもない。
後で、きずいたら、
牛のうおんかちゃんは、わたしを攻撃しようとしたわけではなく、
バケツに興味があったらしい。
いつも、ルネーさんが、そのバケツで、えさをやるので、
わたしが、えさをやりに来たとおもったらしい。
バケツを投げてしまえばよかったわけだ。
誰にも見れていなかったことを祈るのみ。
何ももってないなこの人とわかった
うおんかちゃんは、
なーーーんだという落胆の顔をしながら、
また原っぱにでていく。
そのあと、
そろそろと、
スケッチブックと鉛筆を拾いにいった。
情けない。
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