毎週、日曜の夕方、二人の子どものアートレッスンに、彼らの家に行かねばならない。
小さな子に、絵を教えるなんてことが、
わたしのようなものに、
できるはずがないので、試行錯誤でやってはいる。
シャンデリアがきらめく部屋での
レッスンがおわると、
後片付けなど、
しないで、さっさと、男の子ふたりは
部屋に帰っていく。
片付けの説明をするより、
自分でやったほうが早いので、
本とは、片付けがおわって、
やっと、レッスンが終わったことになるのだけど、
それを説明するのも、どうも、面倒だった。
というのは、この国では、
メイドさんがいて、
片付けるのは、
メイドさんの仕事なので、
こどもたちは、
なにもしないのがふつう。
そういう、しつけができていない
子どもにマナーを教えるのは。
ほとんど時間とエネルギーの無駄とあきらめていたので、
しつこくいったことはなかった。
筆を洗った水を捨てることくらいは、させている。
ところが、先日、ばいばいといって、部屋をでていったあと、
年上の男の子がもどってきた。
レッスンの片付けを手伝うという。
そうなの?
じゃー、テーブルをふいてくれる?
というと、
12人がけの巨大なダイニングテーブルのうえによじのぼり、
私が渡したタオルでふきはじめた。
まだ、7歳。
たいして、きれいには、ならなかったけど、
うれしかった。
みんなで、かたづけると
早いし、たのしいね。
というと、
うんといって、
かわいい笑顔をみせてくれた。
じゃー、来週ね。
といって、
ハイファイブをして分かれた。
だれかが、だれかを思う気持ち。
それが、大人であれ、こどもであれ、
なんてすてきなのだろう。
誰かのことを心配する気持ち。
これが、愛情の始まりなのだろうとおもう。
絵をやっていてよかったなとおもう。
そうしなければ、あの子どもたちと会うことはなかったのだから。
彼の心の中に入るまで、6ヶ月かかった。
人間関係は、ダイエットに似ている。
がむしゃらにやっているときは、
まったく、効果がみえない。
何ヶ月もかかったあと、やっと
効果があらわれてくる。
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