Sunday, March 5, 2017

催眠術




Sanaiya, Al Ain




昨年末から、ある事情で、
二人の男の子が絵の生徒に加わった。
5歳と7歳。
問題は、この5歳の子。
普通、目を隠して
写真をのせるのだけど、今回は、マスクで、目は出してもらいました。



彼は、なんとも言いようがなく、ほかの子と違う。
5歳の子の、潔癖症とかきいたことがないのだけど、
私は、いち早くそれを見つけた。

スケッチをしてそれをぬるというのは、
むずかしいので
私が、簡単にスケッチをして、その色を塗らせるというのを、ときどきやる。

きれいに、線の中に、色を静かに静かにほんとに、静かに、ゆっくりゆっくりと入れていく。

そして、ときどき、この大きな、大きな、真っ黒な、こまかに形容しがたいひとみで、私を見る。

その静かなゆっくりの動きは、まるで、超スローな茶道を思い出させるような
なんとも、いえないムードをかもしだし、
私は、そのまま、眠りにつきそうな
不思議な精神状態になる。

寝てしまっては、だめなので、
私は、レッスンの30分を、
椅子なしで、立ったままでいる。


緑のロケットだそうです。





これは、昨日、彼が描いたもの。
The sun, Mercury,Earth Moon, Mars,Venus,Jupitaer, Saturn......
小さくてよく見えないのが残念だけど、
ひとつひとつ、
微妙に色がまざりあっている。
最初のひとつを彼が塗ったとき、
単なる偶然だとおもっていた。

しかし、どの星もいろがなんともいえない色にブレンドされている。

それを、きれいだと感じた彼の感性が、非常にほかの子とちがう。

小さな子は、すべての色を捕らえることができないときいていたし、
それが、世界共通の知識で、だから、おもちゃはやたらと、
子どもがキャッチしやすい
ビビッドな色だけで作られているものが大半をしめると。

7歳の子は、チューブの色をそのままブレンドしないで
星を描く。

この違いはいったいどこから来るのだろうと
おもいながら、
5歳の子の動きをまた、見ていると、
また、
催眠術にかかったようになるので、
なんやらかんやら
しゃべって、
気を確かにもとうと最善の努力をする。

どうせ、子共の」集中力は、30分ほどしかないですから、
それで、ってことで、30分のはずなんだけど、
彼の集中力は長い。7歳の子の集中力がつづかないので、
すぐその兄を追っていって、レッスンは終わるのだけど、5歳のこの子だけだったら、
延々と続きそうな空気。

ほかの人と違ってもいい、わたしは、これがいいと感じるのだからという、なにがあって
も貫きとおす彼の感性に、学ぶものがある。誰がなにを言おうと、ぐらつかない何かを持っていて、それで人を幸せにできることに、つながるのであれば、それが人間としての最大の喜びになるのだろうなーとか、こんな小さな子を見ていて思ってしまう。

レッスンが終わって、別れるときに、  Good bye,Good byeをその5才の子は、人生最後のわわかれのように何度何度もわたしに言う。
あーこの子は、まだ5才だったんだーと気づくと、同時に
アーやっと、座れるという安堵感がやってくる。







Anise loves green food.


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